半身症候鍼灸鍼灸学生の方へ
現代医学の主流である病院医療と従来の鍼灸治療において見落としている、広範囲にわたる臨床上重要な生体現象があります。従来の医療においては一定の層までの問題しか検査対照になっていなかったのです。
例えば、病院医療では筋骨格系の障害に対して画像診断レベルを超えた微細な骨格の損傷は一切診断の対象外とされ、古典鍼灸理論では主に骨格系を中心とした生体の構造力学的、あるいは構築学的見方がありませんでした。胸部、上腹部臓器の機能に直接関与している肋骨、脊椎についての記述がありません。泌尿器、小腸、大腸、生殖器機能に直接関与する骨盤の変位の検査もありません。
我々が考案した新鍼灸法は、国民から真に要望される病院で不治な疾患の治療に厳密に対応できる治療法として開発しました。この新鍼灸法とは半身症候鍼灸といい、我々はこの鍼灸法を平成5年に考案した後、5~6年前より公開し指導しています。
精神疾患をはじめ、多くの脳神経系の疾患を構築学的変位の面からとらえ、骨盤の微細な変位の操作からの脳の変化で改善できることを知り、腰痛をはじめ筋骨格系の障害や、大部分の、子宮・卵巣疾患、下垂体の歪み、膨張、収縮異常。あるいはうつ症状の多くを脳の歪みや下垂状態との関連など、多くの重要な生体現象を発見しています。
この半身症候鍼灸では、多くの疾患の重要な原因となる問題を、1~2穴の刺針ですべて調整します。経絡治療での標治法のような選穴を追加することは決してありません。その刺針ポイントは、天柱と脳戸、それぞれの付近です。そこが全身に及ぶあらゆる疾患を改善する反応点となります。0番の細鍼により約1ミリ浅刺しますが、置鍼時間は30秒ほどです。その時間内に全身の生体機能が活発になり、血液循環、筋肉系の弾力が改善され、脳、内臓の血行がよくなり弾力も生じます。そして全身の障害部位が変化しだします。
半身症候鍼灸セミナーは、基礎シリーズとして6ヶ月コースを開催していますが、セミナー参加者は、いずれもこの未知の鍼灸法を、鍼灸学習上初めての感動を持ったと言い、生き生きとした表情で学んでいます。このセミナーでは臨床経験の長さ、鍼灸学生の差は全くありません。物言うのは、人体という生体を操作する、謙虚な姿勢だけです。毎期、刺鍼経験の皆無な鍼灸学生のなかにも、目覚しい修得ぶりを見せている参加者がいます。わたしは、これらのセミナー参加者が、近未来の日本鍼灸を確実に改革していくことを確信しています。