高度な鍼灸臨床を目標に鍼灸学生の方へ
より高度な鍼灸臨床を目指すには、その第一歩は、鍼灸臨床の現実を知ることです。従来、日本鍼灸は常時、病院医療と対比した場にあったと思います。病院医療での不充分な分野での補完的地位に存在価値を見つけ、その範囲で鍼灸効果を証明してきたのではないでしょうか。
だとすれば、主体部分である病院医療内に効果上の問題点が内包されていた場合には、鍼灸の発想自体もその問題点に関知しないまま踏襲する危険性があります。つまり補完であれば、その共有する主体部分に共通の誤謬を犯すことになります。事実、現在の鍼灸界には病院医療での行為を無批判に鵜呑みしている面が多々見られます。当然そのことで鍼灸医療においても誤りを共有したまま不正確な治療を進めることになってしまいます。真に鍼灸が進歩するためには、病院医療での問題点をも的確に検証して一点の曇りもない正確な治療が欠かせません。鍼灸の歴史を見ても、取穴に徹底してこだわってきたくらいですから、検査面においてもその厳密さが要求されて然るべきではないでしょうか?