未来に開かれた鍼灸を!|半身症候鍼灸研究会は技術向上を望む鍼灸師、医師、鍼灸学生の為に新鍼灸セミナー、講習を随時開催しています。

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メッセージ
現代鍼灸の存続は、理論のみの鍼灸から効果公開鍼灸への変換が必須条件である

未来に開かれた鍼灸を!ご挨拶

日本の鍼灸界を社会全体から展望すると、医療全体の中でのその存在が極めて薄いということに、鍼灸界側は気付いていないようである。

ひたすら科学化一辺倒に進んできて、今日、鍼灸大学の増加と大学院の設立を見るようになってきた。しかし国民が鍼灸に期待しているのはその方向とは違い、より高い治療効果なのである。治すと言う大課題に行き詰っている西洋医学的主流医療に代わる医療を求めている。この期待にこたえうる医療の可能性を鍼灸は秘めているのだが、鍼灸界はそれには耳を貸さず、治す鍼灸より、一医学分野としての社会的地位の認知、つまり安定した職業観に惹かれているようである。

国民の期待は鍼灸界の志向とは真逆である。その西洋医学に逆に失望してきているのである。西洋医学の真似事より、その西洋医学で治らない多くの疾患を治すことこそ鍼灸が国民からの信頼が得られる道であり、本来の鍼灸の存在価値ではないのだろうか?きっと多くの国民はこの鍼灸界にいらだちを感じ取っていることだろう。

この治す医療への期待にじゅうぶん応えうる鍼灸も、すでに存在している。西洋医学の病院医療で不治とされる疾患は実に多いが、それらの多種の疾患が画期的に治っている鍼灸がある。半身症候鍼灸という新鍼灸であり、常時セミナーで公開、指導している。実際の臨床現場の見学も広く受け入れている。

旧態依然の長年月行われてきた低効果の鍼灸から、そろそろ国民の期待にこたえられる治る鍼灸を鍼灸師は創出するべき時が来ている。たとえそれがなんの鍼灸でもよい、新しい鍼灸を国民は期待しているのである。親戚、あるいは周囲の知人を見渡すと誰か一人ぐらいは鍼灸師が存在するほど鍼灸師過剰の時代になっている。数万人を超える鍼灸師のなかからせめて両の手の指の数ぐらいは画期的効果を上げる、名人鍼灸師が全国に誕生してほしいものである。

数千年にわたり蓄積された膨大な量の鍼灸理論も、その効果は民間療法と際立った違いが見られない。近年の中医学ブームについても目先の理論量に幻惑され判断力が狂わされて賛美の対象になっている。実証なき理論はいくらでも果てしない創作が続く。鍼灸理論の正否は高度の治療効果のみによって証明されるものである。二千年前の治療理論がいくら優れていると言っても、当時の文字、言語のみではタイムカプセルがない限りその実体を再現することは誰にも不可能なはずだ。

ある指導者は言う。講演でのアトピー皮膚炎の臨床披露時、3か月続ければみな治りますと言う。しかし、一回のその場では少しも変わらない。またある指導者は、鍼灸は滅びると言う。滅びる鍼灸をなぜ指導するのか理解できない。わたしも同様に鍼灸は滅びるとは思っている。しかし「このままでは鍼灸は滅びる」である。現に兆候は徐々に表れている。数千人の数の鍼灸師が毎年誕生しているが、はなから開業、臨床をする気のない、その自信のない者ばかりである。鍼灸が治してくれるのではなく、治すために鍼灸を使いこなすということが分かっていない。資格が生活を保障してくれると勘違いして大挙して入学する者が後を絶たない。病人を己の生活の糧にするような考えである。

各地で開催される鍼灸界の研修会では、その講師に医師を依頼することが少なくない。少し考えてほしい。西洋医学で治らない多くの疾患を治さなくてはならないのは我々鍼灸師のはずである。これでは鍼灸が西洋医学以下であることを鍼灸界自らが肯定していることになる。医師会の研修会の講師に鍼灸師が依頼されることでなくてはおかしい。このことを言うと嫌悪感を表わすだけで、誰も疑問から顔をそらすのである。ここに鍼灸界が治る鍼灸に関心を持たない実体を知ることができるのだが、これは鍼灸にわずかな望みを託す多くの患者には見せられない姿である。

国内から世界にかけて、あらゆる土地に病人、疾患で苦しむ人々が満ち溢れている。この現実に鍼灸師は胸が痛まないのだろうか。翻って他人ではなく、自分が突然、仕事ができなくなる。日々の生活を苦痛に耐えて送るという状況が自分に訪れたときを想像してみてほしい。多くの人々のその苦痛、病気を画期的に治せる鍼灸になぜ挑戦しないのだろうか? 鍼灸の資格にはその挑戦権が与えられている。手を広げて待っていても手に入らない。自ら求めなくてはならない。治療の指導とは、自ら求めて来た所までしか指導することができないのである。せっかく、戴いたすばらしい資格を最大に活用してあげなければ必ず、その負い目が無意識のなかに浸み込んでくる。

毎年高額な国民医療費が計上されている。国の財政も救えるだろう。西洋医学は生体組織を回復させるという発想がない。切除か症状を抑えるだけで、原因を追求せず、治癒のために必要な症状まで鈍麻させ回復を遅らせる。さらに医療により種々の障害が追加される。病を治すより、病院は病人を作るところになっている。医学の進歩は、治すことより手術法の進歩であったと言ってもよいだろう。人体に有害である薬物をずっと続けなさいと指示する。内臓でも、筋肉でも、脳でも、あらゆる組織が回復していくことが分かっていない。老人の円背も年ごとに伸びてくるし、病院医療で不治とされる多疾患まで劇的に治っていく鍼灸が存在する。古典鍼灸理論には奇恒の腑の診断法がないとだけ述べておく。

その未来に向けた鍼灸のためには、従来の鍼灸を厳しく検証し直すことが絶対条件である。古典理論鍼灸をはじめ従来の鍼灸にはその治るかどうかの検証がない。厳密な検証をクリヤーした理論でなくては正しくはない。正否が曖昧のまま膨大雑多な理論のその権威に便乗することを止めることである。厳密な治る鍼灸を更に幾重にも追究し続けていくことが鍼灸の進歩である。

多くの志ある鍼灸師、鍼灸学生と共に未来に向けて無限に発展する鍼灸を共に研鑽できることをわたしは願っている。