3.鍼灸学生は何を学ぶべきか?鍼灸学生の方へ
鍼灸学生にしかできないもの
鍼灸師資格取得後ではできない、鍼灸学生であるからできることがあります。それは鍼灸効果の革新及び鍼灸の真の発展を担えるということです。その志を初期の純粋な気持ちで持つことができるからです。
鍼灸学生の資格試験合格時とその後の鍼灸師資格取得後の間には重大な障壁があります。在学中の心は既に臨床鍼灸師だという準備がないと、資格取得後では、ほぼ100%の鍼灸師が旧来の鍼灸効果レベルを抜ける行動、発想が消失してしまうのです。西洋医学と異なり、鍼灸は古代において高度に理論化されたていたことが先入観として足かせになり、新しく鍼灸を創造する気力がなくなります。古典鍼灸学を中心とし鍼灸理論を侵してはならない、バイブル視する思考に陥るようです。
国民大衆の期待する鍼灸は、病院医療の亜流ではありません。それ以上の効果を求めているのですが、鍼灸界はその国民の要望に応えるより、国民からの多くの疾患に信頼を失くした西洋医学からの評価を逆に求めています。EBMにも基づくことを根幹としているという病院医療のなかでさえ、科学性からも矛盾する医療が少なくはなく、効果に疑問がありものが多数あります。 近頃、サイモン・シン『代替医療のトリック』での鍼灸はプラセボ効果であるという評論に対する鍼灸界の混乱も旧来の鍼灸効果のあいまいさが元になっていると思います。