6.鍼灸治療の効果を知らない鍼灸師鍼灸師の方へ
鍼灸師、鍼灸界は鍼灸がどこまで治るのか、治っているのかを知らない?
それは、鍼灸界の慣習が各治療者の臨床を見せないことにある。鍼灸専門学校での担当教員によるごくわずかな臨床披露があるくらいで、実際の開業鍼灸師の実戦的臨床を見る機会がない。各研究会でも臨床にしても、小出しにするだけで、治療院での実戦的臨床を見ることがない。団体における大規模研修、あるいは学術発表にしても一方的に講義する、発表するで、学術の術である臨床技術を競い合うことなどあり得ない。
学習者はただ受動的に学ぶだけで、開業してさえ同業者の臨床を一部見聞するにとどまる。そこまでは業界全体の性格であるが、今度は鍼灸師各自の問題である。自分自身も業界で名声を博している鍼灸師、指導者の臨床を見聞したり、治療を受けて体験するという臨床学習の努力をしない、非常に他業界からすると不思議な世界であろう。
このようなことから、鍼灸師は鍼灸がどこまで治るのか、またどこまで治っているのか確認せず、あいまいな臨床を自ら選択する。ただ患者が楽になったかどうか患者にからの声で曖昧に確認する。
効果の検証をおろそかにするからその先にも少しも治療効果の向上が起きないのである。鍼灸業界は互いその臨床を見せない、そして見ようとしない。こうした慣習が技術の世界での進歩しないことの大原則になっている。何の技術、業界でもその結果を競い合い進歩していくものである。実際に鍼灸の低い臨床効果は日本にとどまらず、隣国における医学界での中医学批判も当然の如く存在している。