鍼灸臨床家に問う
1.鍼灸臨床家に問う!
①.COVID-19を治せない世界鍼灸界
国際的鍼灸界はCOVID-19の対処法は感染防止策でしかなく、治療鍼ではなかった。2019年12月武漢で発生したCOVIDも当地、武漢では中医学鍼灸学会武漢大会が4カ月前の8月16日から18日にかけて開催されていた。武漢市の雷神山医院へ上海中医葯大学病院から派遣された中医師により33例のCOVIDの報告があるほか、中国中医学鍼灸での確実なCOVID治療法を開発できず、2022年6月1日に2か月続いた上海のロックダウンもようやく一旦は解除される事態にあるが、未だ収束を見ない。2年以上にわたるこのパンデミックも中国において感染拡大防止と隔離策のみで、数千年の伝統を誇る中医学もCOVIDによりその治療水準が決して高度ではないことが暴露された。治すことより、「鍼灸は未病を治す」とする古典理論の本質が見えるのである。発病前の段階に予知して、それを治すという高度理論を掲げているが、現病を治せない医学が、将来の発病を予知するという東洋医学のうさん臭さである。
対する日本鍼灸界の現状はいかにあるのか?指導者はただアフター・コロナへの期待を強調するばかりで、中国同様鍼灸で治るのかどうかなど全く眼中にない。ここにも鍼灸界の西洋医学で治らないものは、鍼灸でも治らなくて当然として恥じない鍼灸界の発展を削いでいる宿痾がある。
②.鍼灸臨床家は独自の治る臨床を開発するべきである
鍼灸の科学的研究家による鍼灸効果を立証できず、医学界からのプラセボ視を否定できない鍼灸研究にいつまで依存するのか。知覚神経鈍麻作用による疼痛緩和を治療の主体とする西洋医学と肩を並べる治療効果の鍼灸研究は、各国の利権競争に過ぎない経穴国際標準化騒動にも振り回されている。
354の経穴でもプラセボ論議しかできない経穴にいつまで固執するのか。経穴論も過去のデータの集積に過ぎない。何故、現実の生体に対する臨床での効果を追究しないのか?鍼灸の国際標準化とはだれでも可能な初歩的標準鍼灸治療を目標とするものである。能力に関係なく、すべての鍼灸家が可能な標準鍼灸は、鍼灸の低レベル化を行く。人体機能はそのような単純な機械ではない。日々、生体機能の新発見を不断に繰り返さなければ、それは治せる医学にはならないばかりではなく、生体治癒力を損ない、治癒を遅らせ、時には鍼灸での医原病さえ生じさせているのである。EBM研究での立証も、いまだ医学界からのプラセボ視を否定することができない鍼灸研究家に対する依存を止め、鍼灸臨床家は科学的研究家から真の鍼灸臨床の最前線に立ち、自ら鍼灸臨床を切り開かなければならないのである。
現代西洋医学が結果を出せない多くの日常的疾患、多くの難病視した疾患を治せるのが鍼灸である。例を一つ上げると、長年苦しみ整形外科、鍼灸を受診してきた手指の腱鞘炎を刺鍼、施灸もせず、軽く指関節を触れたくらいの操作で一瞬に解消し患者が唖然とする。奇跡でもなく、暗示でもない、それに合う診断力があるからである。自身の経験以外の現象はすべて存在しないとする西洋医学、鍼灸家には見聞してもトリックだとするだけであろう。
刺鍼は身体組織一部の特定する薬物ではない。金属の皮膚への触覚作用である。微細の刺鍼で皮膚上への触覚作用は、脳内、内臓内、全身血流まで回復させることができる。それは一律に可能な鍼灸効果を低度化する標準鍼灸治療ではない。名人芸を求めないことを誇りとする鍼灸研究会がある。真逆で超名人芸を追究しなければ患者は信頼しない。真の鍼灸は高度な診断感性による追究から生まれる。
中国中医学でのCOVID-19治療では、感染予防が中心で、中医学病院で太極拳、各種体操、吸角、棒灸なども行われている。韓国韓医学でも同様に吸角も多用し、薬物を入れる薬鍼まで行われている。中西結合でも治らない。それは互いの医療への持たれあいである。鍼という最大な医療武器がありながら、何故、単独では治せないのか?
2.新しい気理論と、新鍼灸法
新鍼灸法の理論的基盤となる新しく発見した気理論は、全身の骨格系、内臓系、循環系、神経系、膜系等の全組織の生体機能を統括する気である。それは、人体を縦断する3領域を流動するものであり、左右側脳室と第3脳室、あるいは左右脊髄灰白質と白質、左右小脳テントと大脳鎌とも関係し、中心領域との境界は交感神経幹ともほぼ一致する。
すべての疾患が生体機能の低下にかかわるのであるから、生体治癒力が存在する以上、真の鍼治療ならばあらゆる疾患に有効でなければならない。そのための生体機能の深く精緻な新しい生体機能診断法の発見がなければならないのである。固定化した古典理論、一面的診断視点しか所有しない現代西洋医学では生体を知る医学にはならない。多疾患において対症治療に徹して治癒を目指さない医学と、さらにその医学に
プラセボでないことの証明を躍起に求める鍼灸が、社会から信頼を得るはずがない。社会は治らない現代医療から治る医療、治る鍼を求めているのである。
この気を正常化するポイントは後頭部3点への刺鍼でる。切皮的細鍼により上項線上左右、外後頭隆起周辺の反応点への刺鍼である。刺鍼5秒後には明確に全身の血流が改善され、全身皮膚、筋肉から、全内臓が温かくなる。視界がはっきりし、聴覚が向上する。身体を温めることを期待する灸は一切必要がない。
3.新方式経絡治療鍼
新方式経絡治療鍼とは、陰経6経、陽経6経をすべて正常にする、生体上の経絡を診断する鍼法を公開している。究極の鍼灸法、半身症候鍼灸法修得前の間便法として発見したものである。
陰経6経は任脈で、胃経6経は督脈が統括される。刺鍼はその任脈は任脈上の1点、督脈は督脈上の1点のみである。任脈、督脈を正常化させれば12経絡はすべて正常になる。合計2点の刺鍼点については、文字のみでは既成鍼灸理論観念に固まった一般鍼灸家、鍼灸学生からの身体感性では理解できないだろう。かえって頭から拒絶されることが目に見えている。実際の臨床公開の場で解説したい。これまで多年にわたり、単発の講習会も開催してきたが、鍼灸家全体が既成理論以外には関心がなく、参加者はまれである。そのため、現在、定期開催するセミナーの場で解説することにする。